ポジティブとネガティブはフィルターでしかない

そもそも、ネガティブとポジティブという分け方が雑かもしれませんが、ポジティブとネガティブに対する私の捉え方をひとつ。

ポジティブとネガティブは、生まれ持った性格や性質というよりも、フィルターだと私は捉えています。そして、世の中には確かにポジティブな人とネガティブな人がいますが、どちらが良い、悪いという話でもないと思っています。

どちらのフィルターを通して受け取るかだけの話

人に何か不快なことを言われたときに、ネガティブなフィルターを通してそれを受け取るのか、ポジティブなフィルターを通すのか。これはその人が使い分けるだけの話で、ただ、どちらに受け取っているのかという意識がないだけです。

単に入ってくる情報を見えている要素だけで判断していて、どちらのフィルターを通るのかを自分で振り分けてないことが多いのではないでしょうか。

例えば、仕事で上司にめちゃくちゃに怒られたとき。何も考えてなければ「やっぱり私はダメなんだ」とか、ネガティブなフィルターを通してその事実を受け止めやすい。

ですが、そこで「ポジティブなフィルターを使おう」という判断をすれば、「ものすごく怒られたけど、これは何か自分が変わるチャンスかもしれない」「自分のために言ってくれたのかも」というように、認識が変わってきます。

世の中は根っからポジティブな人もいますが、無意識だとネガティブのフィルターの方が強くなってしまう人の方が多い。そこで、自己啓発などでは「ポジティブに捉えましょう」というようなことをずっと言ってきているんだと思います。

必ずしも「陽」である必要はない

陽転思考という考え方がありますが、何か起きたとき、事実はひとつでも、明るく受け取ることもできれば暗く受け取ることもできる。だったら明るく受け取ろうと。ただ、ここで気をつけたいのは、陽が絶対的に正しいとは限らないということ。たまには落ち込んでもいいじゃないですか。

それに、100%いい方に受け取り続けているとどこかで事故を起こしかねません。クレームのメールがたくさん届いたのに、「これは叱咤激励だ」なんて楽観的に受け止め続けていたら、いつのまにかお客さんが離れてしまっていた、ということもありえます。そういう意味では、自分自身がある程度客観的な視点を持っておくことも重要です。

私の考え方は、すごくポジティブでもなく、かといって優しいだけでもありません。「そのままのあなたでいいですよ」とか「生きてるだけで幸せじゃないですか」というような、全肯定したりはしません。

例えば伸び悩んでいる人に対して「そのままのあなたでいいんだ」と言ったとしたら、その人は救われるかもしれない。けれど、楽になるのはその場だけです。その先をどうやって考えていくかが大事なんです。

私がよくいう「温度感」というのもそういうことで、正しいことを言いつつもポジティブな方向に向かっていく、その方が人生としては楽しいんじゃないかという考えを持っています。

新規事業を始めるときも、ポジティブなフィルターよりもネガティブなフィルターで物事を見たほうがいいですよね。お金がいくらかかるのか、社員は何人必要か、失敗した時のリスクヘッジはどうするかとか、こういったことを何も考えずに「絶対うまくいく」というだけで進むのはちょっとつらい。

私も新しく事業を始めるときは結構慎重です。ネガティブアプローチといいますが、もしも失敗したとしたらリスクはどれくらいなのか、といったあたりはしっかり考え抜きます。

感情にはフタをせず、嫌々でも捉えることが大事

フィルターの使い分けと感情のコントロールというのが、うまくいくためのひとつのポイントだと思います。事実と感情って結構一致してしまうんです。怒られたらショックを受けて落ち込んでしまうとか。

確かに、怒られてショックに感じるのは当然の反応です。ですが、その一瞬はそうなったとしても、そこで一旦事実と感情を切り離す。事実と感情の距離を置くということが大事です。

「感情をコントロールする」ということ。心理学でも言われていることですが、これは感情を捨てるということではなく、感情を捉えるという感覚です。嬉しいとかポジティブな感情なら、大いに噛みしめたり受け取ったりすればいいですが、ネガティブな感情の場合は「捉える」ということが大事なんです。

例えばすごく落ち込んだのなら、「なぜ落ち込んだのか」ということを考えてみる。そうすると、「これとこれをこのタイミングで言われたから落ち込んだ」ということに気がつきます。そうして自分の感情の出所を確認できると、人は少し落ち着くんです。

「うまくいかなかった」という事実から目を背けてしまうのではなく、嫌々ながらも認めることが大事です。よくうまくいかないトラブルなどがあると、「生まれ変わるチャンスだから前向きに捉えなさい」というようなことをいわれます。ですが、そんなことを言われても落ち込むものは落ち込むわけです。

そこで、感情に蓋をせずに、いやいやでいいから認める。これが大事だと思います。蓋をしてしまうと何も変わりません。いやいや認めながらやっていくと、あとは時間が解決してくれます。

このように、ポジティブやネガティブというのは性格というよりも、フィルターでありツールだと私は考えていますし、そう考える方がうまくいきやすいと思います。あまり「使い分けなきゃ」と考えすぎると疲れるので、程よく使い分けをしていきましょう。

ネガティブな人へのアドバイスの進めかた

ネガティブな人といわれてイメージするのは、できないと最初から決めつける人、否定から入る人とかでしょうか。その人の性格にもよりますが、こういう人はまず「本当にそれをしたいと思ってるかどうか」を見極めることが大事です。

その根底が「ほんとうはやりたい」なのか、「現状維持でいい」なのか。ここによっても、アドバイスやアプローチは結構違ってきます。まずは「なぜできないのでしょう?」とコーチング手法で聞いていく。

「私にはとても」
「とてもってどの辺がですか?」
と具体化していくと問題がなくなっていくので、そういうアプローチをまずしていきます。

例えば「ネットが苦手」だという人には、具体的に「アドワーズにログインしたことありますか?」とか。大体はないと答えます。本当にしたいとは思っているけどできていないという人には、ベイビーステップといって、小さい一歩を与えるところから始めましょう。

「今度会うときまでにログインしてみてください。管理画面をみて、そこから話を進めましょう」と小さいステップで進めていくのがひとつ。

本当はやりたいけどできてないなら、有効なアドバイスとしては、「有名な人、あるいは自分でも)も最初は失敗したんですよ」という話が一番効くかなと思います。「私も最初の月の売り上げは2万でしたからね」とかね。こういう話になると、相手の中でも現実的になっていく。

ポジティブな人にアドバイスしても、基本的に聞かないものですが、ポジティブな人に一目置かれる方法ならあります。それは「忠告する」ということ。押し切るタイプの人は、礼賛が集まることが多いんです。知名度があるコンサルとかもそうですが。

そのときに、「この部分だけは気をつけたほうがいいですよ」というようなことを添えると、ほかとは違うアドバイスになるので、相手の印象にも残りやすいですね。