コンセプト経営前夜

これから数回にわたって、開業時からこれまでのことを、私の意識のシフトも交えながら書いていきます。
小規模でも一貫性のあるコンセプトを持って事業を展開したいと考えている人には、これからお話しすることがお役に立つかもしれません。

行政書士が苦痛だった開業当初

私は2003年に行政書士の資格で開業しました。それから1年間は実務家として仕事をしていましたが、これがとても苦しかったことを覚えています。それはなぜかというと、行政書士という仕事では、商品やサービスが限られていたからです。

行政書士は法律に関する仕事なので、その周辺のサービスを無尽蔵に作れるわけではありません。新しい商品を作ることはほぼ不可能です。
日々法律や制度は変化していますが、その変化に対応できないとも感じました。

例えば会社設立手続きでいうならば、私が独立した2003年くらいの時期は、株式会社を設立するのに資本金が1,000万円必要でした。しかし法律が改正され、資本金1円でも株式会社が設立できるようになると、手続きも簡素化して専門家に依頼せずに自分で手続きをする人が増えていきました。

この流れは会社設立だけではなく、他の分野でも起きていることです。実務をこなしながら、こういった変化に行政書士という資格は耐えられないんじゃないかと思うようになりました。

それから、行政書士業以外のことをすると批判されるというのも苦痛でした。士業という業界は、他の業界以上に副業を嫌います。私も昔「悪しき理想専業主義」と著作で書いたことがありますが、専業が美しいという風潮がある。

だから当時はセミナーをすれば叩かれました。「セミナーは行政書士業じゃないぞ」といって全然知らない行政書士業から電話がかかってきたこともあります。このまま行政書士だけでやっていたら、「業」という何かと共に潰れてしまうと怖くなりました。

行政書士業務とコンサルティングに一貫性をつけたかった

私は学生の頃から、コンサルティングに漠然とした憧れがありました。セミナー講師や出版もやってみたいと思っていた。そういう思いが、行政書士として起動に乗るにつれて強くなっていきます。

ですが、行政書士として経営を教えたりセミナー講師をやったりするというのは、士業との一貫性がなく批判されることが多かった。それに自分でも、どこかで納まりの悪さを感じていたのも事実です。

なんとか行政書士業業とセミナーやコンサルティング、出版などの事業に一貫性を持たせることができないかと考えて2005年にチャレンジしたのが、「起業支援コンサルティング」というコンセプトを打ち出したことです。

起業支援コンサルティングをコンセプトにすると、行政書士も入るしセミナー講師、コンサルティングも「起業支援コンサルティング」という枠の中に入るのがわかりました。

行政書士事務所という名前だと行政書士しかできないということで、その後「横須賀経営研究所」という屋号を掲げて経営していたこともあります。この屋号だと、行政書士業務やコンサルティング業務を違和感なく含めることができると考えました。

ただ、たまたま同時期に今の会社の前身である有限会社パワーコンテンツジャパンを作ったこともあって、横須賀経営研究所は少しの期間だけでした。
「アイデンティティ=士業」でやっていると、士業以外のことをできなくなります。そうではなくて、「アイデンティティ=自分」なんです。そして自分のコンセプトが決まれば、もっと自由になれると考えました。

成功と、停滞

2003年の創業後、事業は軌道に乗っていきました。ほんの少しですが、成功したといえるかもしれません。経営天才塾もそれから10年以上続いていますし、商業出版も20冊以上を執筆・監修しました。累計で16万部くらい発行されていると思います。他にも、経営組織アカデミーやゲリライングリッシュなど、いろいろなことをしてきました。

外見的には軌道に乗って精力的に活動をしているように見えていましたが、実は立ち止まってしまった自分がいました。ビジネスを階段で例えるならば、踊り場のようなところにいたのだと思います。天才塾を作ったしコンサルタントにもなった。望んでいた世界を手に入れたとき、自分の人生はこれで完成なのかな、この先になにかあるのだろうか、と考える日が増えました。

止まってしまった時計を無理に動かすために、その頃私は思いついたことは何でもやりました。本を次から次に読んだりもしましたし、何人もの経営者に会いにもいきました。興味を引くことがあると、国外、国内問わずたくさんの場所に出向きました。日本だけで30以上の都道府県に行ったと思います。

ちょうどその頃「理念経営大学」というコンセプトの講座をしていたんですが、これがブレイクスルーの一つのきっかけになりました。次回は、経営理念大学でどんなきっかけをつかんだのかをお話しします。