■年間120万円の顧問料で、3億円の資金調達に成功するコンサルタント。

例えば年商3, 000万円の企業に対して3億円以上の資金を調達できるコンサルタントなどは、税理士と顧問報酬を比較するには良い例です。あくまで資金調達に特化したコンサルタントですからそれ以外の事はやりません。

ところが顧問契約を依頼すれば、企業規模にもよりますが年間数千万円の資金調達が可能になります。規模によっては数億円の資金調達を可能にすることも当然あるわけです。

この場合、月額10万円、年間にして120万円の顧問報酬って高いと思いますか?私にとっては激安です。だって、何億資金調達しても、120万円だけ支払えばいいのですから。

少し話を広げると、資金調達は融資の場合もあれば、雇用に関わる補助金(助成金)、企業向けの補助金など多種多様です(それぞれ必要な資格や得意とする士業も異なります)。

かなり話題になったので聞いたことがある人もいるかもしれませんが、コロナ禍では「事業再構築補助金」といって最大1億円の補助金が貰える制度も出来ました。様々な制約はつくものの、あくまで補助金なので返済の必要もありません。

当然、高額な補助金であるほど難易度は高まりますが、こういった補助金を貰えるかどうかで企業経営の有利不利は大きく変わるわけです。

■雇用のプロ、社労士が求められる仕事とは?

例えば、社会保険労務士。言わずとしれた、労務のプロですが、世間的な認識としては、社会保険・労働保険の手続き、給与計算のアウトソーシング先、助成金申請代行。そんな認識が強いでしょう。

社員が新しく入社した、退社することになった。そういうときに来てもらう、遠慮なく言えば「手続き屋」さんというイメージで、、実際そうであることが多数です。

ところが、プロ士業の社会保険労務士は手続きがメインの仕事ではありません。プロの社会保険労務士は手続き以外に力を発揮します。

例えば問題社員がいたとします。仕事に対するモチベーションも低く、ほかの社員に悪影響。しかも気性が荒く頭の回転だけは良いので、勤務態度を指導すると理路整然と反論してくる。加えてほかの社員に会社の悪評を吹き込む、あるいは部下にはモラルハラスメントのような言動も見られる。ほかの社員からはその社員の言動を理由に辞めたいという苦情相談まで……。

こういった労務問題も社会保険労務士の業務範囲です。そこで社会保険労務士に相談してみると、多くの場合こんな回答がかえってきます。

・当該社員との面談の時間をとってください
・そこでは勤務態度について指導を行ってくだい
・期間をおいて改善されないようならもう一度指導を行ってください
・それでも改善されないようなら期限を切ってもう一度指導を行ってください
・減給、勤務停止などは不利益変更に当たるのですぐにはできません
・辛抱強く指導を続けてください

若干誇張も入っていますが、おおよそ普通の社会保険労務士ならこんな回答になります。 これを見てどう思いますか? 経営者でなくとも「まあ、そうなんだろうけど何の解決にもなっていないよな…」と感じるのが普通です。そう、この回答は法的に間違ってはいないくてもほぼ0点の回答と言ってもいい。

ではプロの社会保険労務士ならどう回答するでしょうか? 問題社員の程度によりますが「解雇しましょう」と判断してくれるのがプロ士業です。

もちろん解雇はよほどの条件が揃わないと不可能であることは言うまでもありません。安易な解雇は労基署に通告される可能性もあります。しかしながら、退職してもらうためには解雇だけが手段ではなく、退職勧奨もありますし、配置転換などもあります。

何が言いたいのかというと、前者の回答は「ただ労基法を守った上での助言」にしか過ぎず、後者は会社が健全に経営を続けていくためのアドバイスだということです。

「解雇、退職勧奨は言い過ぎなのではないか?」という意見もあるかと思いますが、問題社員がいることでほかの社員が辞めたら目も当てられませんし、経営に悪影響がでたり、倒産してから後悔しても意味がありません。

これは問題社員はさっさと解雇すべきとかそういった話ではなく、質問に答えるだけではなく積極的にアドバイスや提案をする、そして経営全体を見て労務的な判断をしてくれる。これがプロの社労士であり、プロ士業である、ということです。

多くの士業は、相談したら答えてくれる。そういうスタンスです。でもそれは、こちらが考えた上で相談しなければ、適切な回答が出ないということでもあります。先日『ChatGPTは、弁護士や税理士など士業・専門家の相談業務を奪うのか?』という記事でも書きましたが、そのようなスタンスなら今後はChatGPTかBingに聞けば十分ということになりかねません。

プロ士業とは「依頼者の状況を踏まえた上で、自分の意思と責任を持って、判断と提案をしてくれる専門家」ということになります。

聞いたら答えてくれる人と、聞かずとも積極的に考え、提案してくれる人。どちらが優秀か?  結論はもう、出ていますよね。

横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 WORKtheMAGICON行政書士法人代表 特定行政書士

【プロフィール】
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。https://news.yahoo.co.jp/articles/f28ed223789f3b889954c91a67c9e61eeb2abeb2?

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