「絶対に潰れない」そう思っていた会社が、突如倒産することがあります。古くは北海道拓殖銀行、山一證券。「聖域」と言われた銀行や証券会社もこのほかではありません。
バブル崩壊後も、リーマンショックや東日本大震災、そしてコロナ禍。様々な要因によって企業は倒産してしまうものですが、何もこのような大きな要因だけが倒産原因ではありません。
「多くの人が、自分の会社だけは大丈夫と思っている」
このように語るのは士業向けコンサルタントで行政書士の横須賀輝尚氏。「会社が倒産するのは突然。しかし、実際は小さな『倒産のシグナル』を出している」と指摘します。今回は横須賀氏の著書「プロが教える潰れる会社のシグナル(さくら舎)」より、再構成してお届けします。
■その美術品を、なぜ購入した?
経営者の中には、結構アートに凝る人や車や時計に凝る人も多く見受けられます。もちろん、きちんと売上を伸ばし、適切な役員報酬の中から嗜好品としてこれらのものを購入するのは何ら問題ありません。あくまで自分の給料からの支出なわけで、そこでは好きにしてどうぞという感じです。
ポイントとしては、二つ。まずはそれらの嗜好品が、経営者の「本当に欲しかった」ものなのか、それともただの見栄なのか。どちらの動機によって購入されたのかが気になるポイントです。
本当に欲しかったものであれば、三〇〇万円を超えるロレックスでも、一〇〇〇万円を超えるポルシェでも、欲しかったものなら大切に使うでしょう。でも、これが見栄からくるものだとちょっとたちが悪いというか危険な香りがします。
最近はそうでもない経営者は増えましたが、かつて経営者は経営者同士、マウントを取り合うような傾向がありました。
「あいつが一〇〇万円の時計なら、おれは二〇〇万円」みたいな。
特にいわゆるキャバクラのようなお店では、当然そういう高級アイテムを所持していることは称賛の的ですし、女の子に褒められながらほかの経営者にマウントが取れる一石二鳥アイテムです。場合によっては、それだけでモテるでしょう。
見栄による購入、承認欲求を満たすための購入には、終わりがないのです。つまり、こういった高級アイテムを持つこと自体はそこまでNGではない。でも一方で、「買い続ける」ことに対してはその動機によっては危険な兆候であるといえます。
加えて、美術品などをその価値がわからないのに収集している場合。本当に好きならいいです。
でも、これも見栄から集めているとしたらちょっと危険。なんというか、経営者ってレベルが高くなればなるほど、美術品やアートに造詣が深いほうが優れている、という空気があるんですよね……なんででしょう。
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