センスがない、ということ。

*センスのないヤツ

最初に断っておきますが、私は品のない言葉使いが嫌いです。

「ヤツ」という言葉も、私の基準では普段使わない言葉なのですが、まあ表現として伝わりやすいので、あえて使ってます。

センスというのは、音楽にせよファッションにせよそれこそ様々なジャンルで様々な基準があり、結論なんか出るものでもないのですが、士業のビジネスにおいては一定の結論が言えます。

このあたりがわかっていないというのは、やっぱりそれは「頭でっかち」であって、知識優先で、目の前に見えているものが見えていない。

そう言わざるを得ません。

見えているものというのは、文字になった知識や、数値化されたデータ。もちろんこういのは大事なのですが、それを通じて、それを超えて考える力がなければ、それこそ「センスがない」となります。

士業ビジネスのセンスでいえば、これも複雑ではあるのですが、その中でも「センスがない」と言わざるを得ないのが、これ。

士業のビジネスを競争だと思っていること。
 
まあ、もっと平たくいえば「パイの取り合い」。

もちろんそういう面もありますよ。マーケットという形で見ればね。

ただ、いまだに「すでに○○先生があの業務を扱っているから、もうこの業務は無理だ」とか言っていることには、残念ながらセンスが感じられません。

市場原理で言えば、確かにそういう面はあるのですが、説明するのも意義を感じないので、まずは士業ビジネスの事業規模でそういった寡占や独占が起きることはありえません(大規模は少し別)。

その時点でセンスは感じられないし、何なら勉強不足です。

そして、競争というのは一定の商品品質のもと、一定の顧客が奪い合う(あるいは事業者側も)もので、言い換えれば、これは「価格競争」になるわけです。競争にはなっているんですよ。USPも作らなければならないし、強みも要る。

でも、競争原理の中にいる以上、永遠に競争なんです。つまりは価格との戦い。士業のこれまでの歴史を見ればわかるでしょう。競争原理の中、価格で疲弊どころか瀕死状態。

そして、少し話が逸れますが競争原理というのは「奪い合い」原理であって、こういう思想は商品構成や事業の根幹だけでなく、性格や品性まで歪ませます。

常に人のことを気にして同業他社の失墜を願う。

それを超える理念があれば別ですが、士業ビジネスくらいの規模では、長期的に見て様々なものを歪ませていく。

だから、市場原理で考えている以上、センスを感じることはできない。

これは私の考えです。

私という存在も、良くも悪くも批評の的になってきたわけですが、別にライバルみたいな存在はいないんです。

ナントカ研究所とか、士業コンサルタントの誰それとか、比べられることはあるでしょうけど、本人は相手すらしていないし、情報も別に集めない。

それは、ライバルではないからです。
 
話を戻しますが、じゃあ一体センスのあるということは、この市場原理についていえばどういうことなのかといえば、極めて答えはシンプルです。

クライアントの方を向いて、貢献する力を適切に高めているか。

基本的にはこれだけです。言葉では非常に簡単ですけど、ほとんどできていない。

そして、中途半端に知識のある人ほど、たぶんこの言葉は響かない。

開業したての人なら、賢人の言葉と思って耳を傾ける。そして、本質を知っている法律実務家なら深々と頷くでしょう。でも、中途半端な人は「綺麗事」という。

なので、説明しますよ。少しアカデミックになりますが…

まず、価格が自由化される前は、鉄板の職務であって、鉄板の職業だった。

この頃の士業の業務は正に「定型」の仕事。報酬が決まっていた時代は、実は2000年前後まで続いていたというのも驚きですが、それから値下げマーケティングが横行します。

それと同時に企業や社会の法律問題が複雑化。定型の業務では対応しきれなくなってきます。

これが2010年前後からの変化。言い換えれば、これまで定型の法律業務で貢献 してきたのが士業。2010年以降は、「非定型」の仕事で貢献できる士業が選ばれる時代になってきた。

それがいま、極めて顕著なかたちになって表れてます。まあ、このあたりは「士業を極める技術」に収録済みなので、細かいところは良いでしょう。

 で、まだ続きます。

もちろん、これまでも専門性を持って、士業をやってきたと思います。

助成金の専門とか、補助金の専門とか。各種許認可の専門とか…まあ何でも良いのですが、古い開業指南本が「専門を絞れ!」と合言葉のように煽ってきたことも相成って、そういう状況が続きました。

これも簡略化して解説しますが、経済が伸びているときはそれでいいんですよ。国家がつくった資格ですし、国家が予測するような経済の伸びがあるときは良い。つまり、自分の専門というか商品を、ある程度適当につくっても、市場がそれに合わせてくれる。

でも、いまはそういう時代にない。経済は復活しているように見えますが、正直ほとんど変わってない(株価の上昇と実際の経済の話は長くなりすぎるので
 割愛します。新聞と現実は違うとだけ思ってもらえれば、ここではOKです)。

言い換えれば、これまでの士業の強み、USP、専門性づくりは、我がままで自分勝手なものだったってこと。

相続がやりたいから相続をやる。建設業許可がやりたいから建設業許可をやる。
 
etc挙げればキリがありませんが、そういう流れだったし、そういう時代だった。士業は自分のことしか考えてなかったんです。

でも、いまは違う。

クライアントは過去のようなニーズを持っていないんです。
 
社労士の場合でいえば、社保と給与計算だけやってほしいというのは旧石器時代のニーズ。いまは労務問題をきちんと解決できる人を求めています。言い換えれば、過去のニーズだけ追っかけている人は、競争原理の中にまだいる人で、価格競争になっているということ。

だから、「センスのないヤツ」にインクルードされます。

つまり、クライアントのことを考え、そのニーズの中で強みをつくっていかなければならない。これで少しずつわかってきたと思います。

クライアントの方を向いて、
貢献する力を適切に高めているか。

これが何よりも重要だということに。

あなたがどうしたいああしたいという理想や理念はあると思います。あってしかるべきです。しかし、これまで以上に士業は、クライアントの方向を向いて、クライアントに貢献できる方向性で強みをつくっていく。

単に「強み」をつくる。「USP」を持つ。「差別化する」んじゃないんです。そりゃわがままってもの。それで稼げる時代はもうとうの昔に過ぎ去りました。

だから、もう一度クライアントが求めている士業について考える必要があるし、その方向で努力していかなければ、その努力の意味もなくなってしまう。

ひとつの答えが「高難度業務」なのですが、そのあたりは、よりまた詳しく解説していくことにしましょう。

追伸

自分勝手な専門性は単なるエゴです。そういう場合は、どんなに自分からみて優れたサービスのように見えても、顧客からは無価値です。

もうちょっとわかりやすく言えば、クライアントに求められていないものは、どんなにプレゼンテーションしても、通らない。

そういうことになります。

横須賀輝尚

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