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私は過去に会社をリストラされ、行政書士として独立開業する道を選びました。その際の開業資金は、退職金や解雇予告手当をかき集めて何とか捻出したものです。行政書士登録費用などを支払った後に手元に残ったのはわずか40万円ほど。預金残高が100円を切るような状況で、最低限の節約をしながら事業をスタートさせました。
「開業資金は少なくてもなんとかなる」という話を時折耳にしますが、私の経験から言えば、それは非常に稀なケースだと思います。確かに結果的には事業を軌道に乗せることができましたが、その過程での精神的負担や不安は計り知れないものがありました。お金がないと、日々の意思決定が極端に狭まります。必要な投資を躊躇してしまったり、周囲に頼ることをためらってしまったりと、事業に悪影響を与える場面も多々ありました。
一見、美談として語られることがある「少ない資金で成功した」という話。しかし、これは誰にでも当てはまる話ではありません。むしろ、開業資金が少なすぎることで、冷静な判断ができなくなったり、精神的に追い詰められたりする可能性の方が高いと感じます。
開業資金を十分に用意することは、精神的な余裕を保ち、冷静な意思決定を可能にする重要な要素です。また、「借金」と「借入れ」は混同しないようにするべきです。たとえば、日本政策金融公庫などの公的な機関から低金利で借り入れることは、健全な事業運営の一環といえます。一方で、消費者金融などの高金利の借入れは避けるべきです。
借り入れには適切な準備と計画が必要ですが、これを「悪いこと」と捉えずに、事業成功のための投資と考えることが大切です。
私自身の経験を通じて学んだのは、「お金の余裕は心の余裕」ということです。たとえ開業時に「節約でなんとかなる」という考えを持っていても、それは極めてリスキーであると実感しました。必要な資金をしっかり準備し、健全な借り入れを検討することが、長期的に見て事業の成功につながると思います。
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