倒産直前の社長は「笑っている」
基本的に、会社が潰れそうになれば社長の顔色は黒く、そして表情も暗い。だから、社長を見るだけで「この会社、ヤバそうだな……」って感じることができます。一方で、ある一線を超えると潰れそうな会社の社長は明るくなるのです。それも弾けたように。
理由は簡単。もう諦めてどうでもよくなってしまったから。あるいは、夜逃げの準備ができて、あとは逃げるだけになったから。
前者は現実逃避。後者は昔の言い方で言うと「高飛び」ですね。目の前の負債、借金、給与の支払いから逃げられるとわかって、反動でハイになってしまうわけです。
例えば、ある税理士の話によれば、クライアントである顧問企業の社長が業績不振で倒産間近の憂き目にあっていた。どんな優秀な税理士でも、会社そのものが売上をつくれないのであれば、なかなか効果的なアドバイスもできません。
社長の顔色は優れず、借金の支払いに怯えていた。しかし、あるとき突然朗らかな表情に変わって、明らかにハイになっている。もちろん、業績は変わらずよくない。むしろ倒産のカウントダウンが始まっている。
そして、社長は突然いなくなったそうです。あとで関係者から話を聞くと、どうもそのハイになっていた時期は、会社に残っていた資金を個人的に入手し、どこか遠くの田舎に住居を確保し、あとは逃げるだけになっていたそうな……。
だから、暗くなっていた社長が、何の妙案も対策もないのに突然明るくなったら、最後の最後。しかし、突然ハイになるなんて、怖いシグナルですよね。
最後は連絡が取れなくなる
これは説明するまでもないと思いますが、最後は社長と連絡が取れなくなります。突然取れなくなることもあれば、徐々に取れなくなることも。
後者の場合は、最初は銀行などからの連絡に対応するも、徐々に策がなくなり、電話に出ることが怖くなる。そして、だんだんと折り返しの電話もなくなり、会社に行っても社長がいない。そんな感じです。
社長がいなくなってしまえば、もうできることはほとんどありません。銀行は貸したお金は「不良債権」として諦めるしかありませんし、社員は自主退職するしかありません。
正直、お手上げです。社長のスマホや車にGPSでもついていれば、追跡できるかもしれませんが、事前にそんな対策をしている会社もないでしょうし、社長がいなくなり、まったく連絡が取れなくなったら、ジ・エンド。残念ながら、バッドエンディングです。
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