価格のジレンマと「体験主義」で得た教訓

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価格のジレンマと「体験主義」で得た教訓
開業1年目に直面した“価格”の課題

独立開業して最初に直面したのは「価格」という難題でした。特に2000年代に入ると、インターネットマーケティングの普及により、業界全体の価格が透明化される流れが加速しました。それまでブラックボックスだった士業の報酬も、ネット上でどんどん明るみに出ていきました。

かつては弁護士や他の専門職の報酬が規定に基づいて決まっていた時代があり、依頼者はその価格を「こういうものだ」と受け入れていました。しかし、価格の公開が進むにつれて、競争が激化し、報酬単価が全体的に下がる傾向が顕著になりました。この環境の変化の中で、どう価格を設定し、どう価値を提供するか――これが自分にとって避けて通れない課題になりました。

価格設定へのスタンス:「価値」か「価格」か

正直、最初は迷いました。ウェブサイト上で価格を安く見せれば、依頼は増えるかもしれない。でも、それは業界全体の価格を押し下げることにもつながる――そんな懸念もありました。

結果として、私は強気の値下げは避け、目先の価格競争に巻き込まれない道を選びました。その代わり、アナログな場面、例えば直接の相談や対面でのやり取りの中では、柔軟な値引きも考えました。それは「経験値を得る」ためでした。つまり、価格を優先するよりも、経験を積むことに価値を見出していたのです。

「経験値ファースト」の考え方

会社設立や車庫証明といった業務も含め、当時の私は、利益よりも「経験値」を優先することに注力しました。報酬が少なくても、その経験が次につながると考えたからです。このアプローチは、結果的に自分のスキルや知識を深めるだけでなく、商談の成約率を高めることにもつながりました。

特に、開業1年目は何でも「体験主義」で取り組む姿勢が重要だと感じました。業務の大小や報酬の多少に関わらず、自分の力を試す機会を逃さないこと。それが自信を生み、次のステップへの扉を開く原動力になりました。

「価格」を超えた価値を考える

この経験を通して、価格というものは単なる数字以上の意味を持つことに気付きました。それは、クライアントにとっての「価値」として捉え直すべきだということです。単に安さをアピールするのではなく、「この人に頼みたい」と思わせるだけの付加価値を提供すること。

たとえ初期の段階で割安な案件をこなしたとしても、その経験が次の大きな依頼につながる可能性を秘めています。そして、そうした積み重ねが自分自身のブランディングにもつながっていくのだと思います。

まとめ:「体験主義」のススメ

開業1年目を振り返ると、価格競争の中で「体験主義」という選択が、自分にとっての正解だったと感じます。短期的な利益を追求するよりも、経験を積むことを優先する姿勢が、長期的な成長につながったのです。

これから独立を考える人や、価格設定に迷っている人にはこう伝えたいです。「価格」そのものにとらわれるのではなく、そこから生まれる「価値」や「経験」に目を向けてほしい。たとえ報酬が少なくても、その経験があなたの未来を切り拓く礎になるのです。

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